便秘の原因は筋肉のコリかも

腸の蠕動運動は、脳幹が司っています。ストレスが多い生活が続くと、脳幹は交感神経優位になるよう指令を出します。すると、副交感神経の働きが低下します。
一方で、脳神経の一つである迷走神経は、消化や心拍といった内臓の働きを制御する役割がありますが、実は副交感神経に属します。つまり、不安や絶望、罪悪感、怒りといった感情で神経が参っていると、免疫が下がり、消化不良を起こしたり、便秘、不整脈などの症状が表れてくることになります。

これは一説にすぎませんが、筋肉のコリは迷走神経に影響を及ぼします。首のコリがそこを通っている迷走神経を圧迫し、内臓の働きに影響を及ぼすのはその一例です。筋肉の張りは、消化器官の働きを独自にあるいは迷走神経と共に制御する腸管神経の神経伝達を阻害することも考えられます。

実体験においては、マッサージで凝っていた筋肉がほぐれた途端に腸の活動を感じられたということが報告されています。このことは、この説を裏付ける一例と言えるでしょう。神経節を通じてつながっているので、筋肉のコリを解消することで迷走神経や腸管神経を刺激することになるのです。

舌の酸っぱい感覚はコリの症状かもしれません

まだ実証されていませんが、長時間のデスクワークなどでモモや肩、首の筋肉などがカチカチに凝っているような場合、朝起きた時に舌の上に酸味を感じることがあるかもしれません。意外に思える症状ですが、これは脳神経の一つである顔面神経が関与しているためと考えられます。共に感覚神経と運動神経の両方を併せ持つ混合神経ですが、顔面神経には味覚を伝達する機能があります。

筋肉のコリは隣り合わせの神経機能に影響を与えることが多くあります。筋肉のコリによって神経が圧迫されると、本来の感覚が正しく伝達されない障害が起こり得ます。
例えば脚や腰、肩のコリによって首の筋肉が引っ張られますと、首が緊張して張りが生じ、そうした神経を圧迫します。すると、圧迫された顔面神経は、あたかも舌が酸味を感じたかのように脳に信号を送ります。これがこの現象の仮説になります。しかしながら、実体験として凝っている筋肉をほぐしたら酸っぱさを感じることがなくなったという現象は確認されています。

逆に言えば、朝起きて何も食べていないのに舌に酸味を感じることがあれば、それはどこかの筋肉にコリがあるサインであると言えるかもしれません。

原因不明の歯の痛み-首のコリかもしれません

虫歯になったり、エナメルが剥がれて過敏になったりすると歯痛が起こるというのが普通の考え方です。しかし、それ以外の歯科的には問題のない歯の原因不明の痛みというのも存在します。

そんなときは、首の筋肉のコリが原因となっていないか疑ってみましょう。医学的には認証されていませんが、歯根の土台を引っ張っている筋肉がある場合、痛みを発生させることがあるようです。

そうした状況になるのは臼歯(奥歯)であることが多く、直接歯茎の土台を引っ張っているのは、顎舌骨筋であると思われます。それに関連して、二腹筋や舌骨周りの肩甲舌骨筋、茎突舌骨筋、胸骨舌滑筋なども影響していると推察されます。

このケースが当てはまるようであれば、これらの首の筋肉を引っ張っている筋肉をリリースすることで解消します。

嚥下障害・呂律が回らない症状は、首の前傾が原因かも

食べ物を噛んで飲み込んだ際、ご飯粒やピーナッツが喉に引っ掛かってしまい、取れなくなることがあります。放っておくと、引っ掛かった喉の周辺に炎症を起こし、菌が繁殖して風邪のような症状になることもあります。
嚥下障害は、二腹筋や肩甲舌骨筋、胸骨舌滑筋、茎突舌骨筋などの首の筋肉の緊張によってもたらされることが原因の一つとして考えられます。

また、脳に異常はないのに呂律が良く回らない場合、首まわりの筋肉のコリが原因であるかもしれません。これは二腹筋という、舌の動きに関係する筋肉の凝りが疑われます。

その他に、肺や気管支が悪いわけでもないのに咳き込んだりする人は、この二腹筋の付け根が凝っていることによって、耳下腺が過敏になることが原因であることも考えられます。

ちなみにこれは独自の理論で、医学ではおそらくこうした筋肉のコリを原因とする見地はないかもしれません。

二腹筋の動きを確かめてみると、首を後傾した時(上を向いたとき)に収縮し、首を前傾した時(下を向いたとき)に伸縮することがわかります。つまり、猫背やストレートネックなど、首が前傾している人がこうした症状を発しやすいということになります。

対応の仕方としては、猫背やストレートネックの原因となる、首を前に引っ張っている筋肉を戻していくことで解消します。